イスノキ Distylium racemosum
西表島 3月 |
葉は鋸歯があったりなかったりする。 屋久島 9月 |
沖縄本島 嘉津宇岳 10月 |
長崎県対馬 龍良山 6月 |
暖帯林の主要構成樹種のひとつで、とくに自然度の高い常緑樹林では、でかくなったイスノキが高木層にまで到達していることがある。
葉の様子はスダジイに似ているけれど、スダジイの葉がふつう鋸歯があるのに対してイスノキの葉はふつう全縁。
スダジイの樹皮は縦に大きく筋が入るように裂けるけど、イスノキの樹皮はまだらに剥がれ、より赤っぽい。
モチノキ(モチノキ科)の葉も、厚ぼったくて全縁であるところがイスノキの葉と似ていて、間違えやすい。
モチノキの葉はやわらかくしなやかで、葉裏にほとんど葉脈が目立たないところがイスノキとの分かりやすい区別点だ。
クロキ(ハイノキ科)の葉はふつう鋸歯があるけれど、ほぼ全縁の場合もあり、イスノキと紛らわしい。
クロキの枝は緑色で、はっきりした稜があるので、それを観察すればイスノキとクロキを判別することができる。
沖縄に生育するリュウキュウコクタン(カキノキ科)は、イスノキと似たような葉を持ち、生育条件も似たようなところがあるけれど、
リュウキュウコクタンのほうが葉質が若干薄くてやわらかく、葉の中央の白い筋が目立つ。
左下の写真は、沖縄本島の嘉津宇岳山頂付近の北向斜面に発達したイスノキの低木林。樹高は5m程度。
ひょろ長いイスノキを見ることはよくあるけれど、このような太さにまで成育したイスノキ林はあまり見る機会が多くないのではないだろうか。
土壌は石灰岩性で、ショウベンノキやリュウキュウモクセイ、ギョボク等が混生していた。
右下の写真は、長崎県対馬の龍良山の北向斜面に発達した、イスノキやウラジロガシの大木などからなる成熟した林。
写真の中央にある赤っぽい樹皮の大木がイスノキ。とにかくでかくて感動しました。
林床はちょっと植被率が低い気もするけど、成熟した常緑樹林ならこんなもんか?シカの影響もあるのかな・・・?