その他
(1)緑地保全地域・特別緑地保全地区 (都市緑地法;法令データ提供システム(外部リンク))
緑地保全地域は、無秩序な市街化防止・公害災害防止または健全な生活環境確保の目的で、都市計画区域や準都市計画区域内に指定されます。
木竹伐採や土石採取などをする場合、行為の30日以上前に都道府県知事に届け出る必要がありますが、軽易な植物採取なら問題ありません。
特別緑地保全地区は、上のような目的や、伝統的文化的意義のある区域を保全するために、都市計画区域内に指定されます。
木竹伐採や土石採取は都道府県知事の許可が必要です。しかし軽易な植物採取なら問題ないと思います。
また、首都圏近郊緑地保全法や近畿圏の保全区域の整備に関する法律による近郊緑地保全区域や近郊緑地特別保全地区についても同様です。
(2)湖辺環境保護地区 (湖沼水質保全特別措置法;法令データ提供システム(外部リンク))
湖沼水質保全特別措置法は「湖沼法」とも呼ばれ、全国10ヵ所の湖沼が指定湖沼となっています
(霞ヶ浦、手賀沼、印旛沼、琵琶湖、児島湖、諏訪湖、釜房ダム貯水池、中海、宍道湖、野尻湖)。
これらの指定湖沼の水質に関わっている地域を指定地域といい、指定地域内に湖辺環境保護地区が指定される場合があります。
湖辺環境保護地区内で植物を採取する場合は、行為の30日以上前に都道府県知事に届け出なくてはいけません。
ただし、植生の維持管理や自然観察のための軽易な採取、学術目的の採取などの場合は届出不要のようです(参照;報道発表資料(外部リンク))。
(3)景観重要樹木 (景観法;法令データ提供システム(外部リンク))
景観計画区域内で良好な景観の形成のために指定された樹木です。
伐採・移植が禁止されていますが、軽易な行為であればこの限りではないとのことです(景観法第31条)。
(4)保存樹・保存樹林 (都市の美観風致を維持するための樹木の保存に関する法律;法令データ提供システム(外部リンク))
都市計画区域内で美観風致の維持のために指定された樹木や樹林です。
何人も、保存樹又は保存樹林が大切に保存されるように協力しなければならない(第5条)、
とありますが、同法で規制されている行為は特にありません。
(5)条例
条例とは、都道府県や市町村が法律の範囲内で自主的に制定する法令です。
植物を採取する場合、各自治体の条例にも違反していないことを、各自治体のウェブサイト等で確かめる必要があります。けっこう重要です。
(6)条約
条約とは、国家間で結ばれる国際的な取り決め(国際法)のことです。ここでは植物採集に関係があると思われるものを並べます。
・ワシントン条約(CITES)
指定された動植物の国際的取引を規制する条約です。条約そのものに罰則規定はありませんが、
日本では「種の保存法」によってそれらの動植物の国際的取引を規制しています。
・世界遺産条約
登録された地域の景観や環境を保全することを義務付けた条約です。これに関しても、罰則は国内法によります。
日本で登録されている自然遺産は、2007年12月現在、白神山地、屋久島、知床半島の3地域です。
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